美容やアンチエイジングに効果絶大!「薬膳火鍋」の香辛料、その効能!

女性の間で季節を問わず、依然として人気が高い「薬膳火鍋」。火鍋といってもただ辛いだけでなく、バラエティーに富んだスープや具材により、あらゆる味を楽しむことができるのも人気の秘密のよう。

四角形: 角を丸くする:  薬膳火鍋とは?薬膳火鍋とは、中華圏で広く食されている鍋料理のひとつ。「鴛鴦(ユエンヤン)」と呼ばれる中央に仕切りがある独特の鍋でいただきます。そのスープは大きく分けて2種類。ひとつは、香辛料が入った辛くて紅い「麻辣(マーラー)」。もうひとつは、白濁した「白湯(パイタン)」です。そのスープの中に、肉や魚介類、野菜やキノコ、餃子や団子などを煮込みます。この薬膳火鍋のおいしさの決め手となるのがスープ。特に紅いほうのスープには、たくさんの香辛料や生薬が使われています。薬膳火鍋に使われるスープの香辛料・生薬6つ

クコの実  

1:ナツメ クロウメモドキ科のナツメの果実。生薬名「大棗(たいそう)。「ナツメはいろいろな漢方薬の中に使われています。生命活動に不可欠な『気』と、栄養を運び精神活動に関係する『血』の両方を補う力があり、『一日3粒食べれば老い知らず』ともいわれています。また、古くから女性の美をサポートするとされており、かの楊貴妃も愛したという美容食材でもあります。消化機能が虚弱で元気の出ない人、精神不安や不眠の悩みがある人におすすめ。日本ではなじみが薄い食材ですが、中国、台湾、韓国では比較的ポピュラーな存在。特に韓国では、朝鮮人参などとともにサムゲタンにも入っていますし、ナツメのお茶などもよく飲まれるようです。ちなみにナツメヤシのデーツとは異なりますのでご注意を」

2:クコの実 ナス科の植物クコの果実。生薬名「枸杞子(くこし)」「クコの実は、欧米ではゴジベリー

と呼ばれ、スーパーフードとして人気です。生薬としては、目によい薬膳食材として知られています。枸杞子の特徴は、女性の老化と関わりの深い五臓の『肝』『腎』に働きかける点。年齢を重ねると、体のうるおいを保つ力が低下し、それが更年期のめまいやふらつき、ほてりなどにつながりますが、クコの実には、不足しがちな『うるおす力』やこもった『熱を冷ます力』を補う働きがあるので、特に女性のエイジング対策に有効といえるでしょう。効果を期待するなら、『一日20~30粒食べる』とよいとされています」

3:党参(とうじん)キキョウ科のヒカゲノツルニンジンなどの根。生薬名「党参」「党参は、『気』を補って消化機能の働きを助けたり、『肺』の虚弱による息切れ、呼吸困難、咳、声に力がないといった症状に使ったります。抵抗力をつけるので、風邪をひきやすい体質の人によい薬膳食材です。『血』を補う力もあるため、血の不足で顔色が悪い人、頭のふらつく人にも。また、うるおいを生み出す力も高まるので、熱病などで口が乾くときなどにもよいでしょう。薬膳では『気』の虚弱を補う薬として人参(野菜のニンジンではなく、朝鮮人参、吉林人参などのこと)を用いますが、党参は人参より薬力は少ないものの、同じような効能があるため、よく代用として使われます。薬力がマイルドなので、人参が体質的に合わない人には党参がおすすめで、食材として使いやすいでしょう。煮込むとゴボウのような味になります」

竜眼  

4:良姜(りょうきょう)ショウガ科ハナショウガ属植物の根茎。生薬名「良姜」「高良姜」「良姜は高良姜(こうりょうきょう)ともいわれ、『姜』の字がつく通り、生姜の仲間で、辛味があり、体を温める効果があります。生姜との違いは、温める作用が向かう場所にあります。生姜は体表を温め、毛穴や皮膚のキメを開いて発汗させるのに対し、良姜は体内を温め、特に胃の冷えを取り除きます。お腹が冷えることによる腹痛の緩和や、冷えによって消化機能が低下した際の吐気、げっぷ、下痢などに有効です。温め効果が強いので、冬の寒い時期や冷え性の人におすすめです」

蓮子  

5:竜眼(りゅうがん)ムクロジ科のリュウガンという熱帯植物の果実。生薬名「竜眼」「竜眼肉」「竜眼は、同じムクロジ科のライチに似たフルーツです。薬膳食材では、皮ごと乾燥させたものが使われ、皮を軽く割って紅茶と一緒に煮出したり、皮のまま薬膳鍋に入れたりします。皮の中には、乾燥した果肉が入っていて、これを『竜眼肉』といいます。竜眼肉には『血』を補う作用があるとされ、心身の虚弱に効きます。特に不眠、健忘、倦怠無力感などの症状がある人によいでしょう。薬膳鍋では、丸い皮のまま入っていると思いますが、ぜひ皮を割り、中の果肉まで食べてみてください」

6:蓮子(れんし)スイレン科ハスの種子。生薬名「蓮子」「蓮子は水で戻してからゆでると、ほくほくとした

栗のような食感になり、台湾や中国などでは甘く煮てスイーツなどに使います。辛味やクセがなく、料理に使いやすい食材でありながら、薬効も高いのが特徴。収斂作用によって『漏れ』の症状をとめる作用と、精神を安定させる作用に優れています。漏れを止める作用は、虚弱体質や加齢によって下痢しやすい人や、『腎』の虚弱による不正出血、帯下などにおすすめ。精神安定作用は、不眠や動悸のある人におすすめです。効果効能からも推察できるように、加齢による体や心の揺れが気になってくる40代からの女性に勧めたい薬膳食材です」

岡尾 知子さん

国際薬膳師、国際中医師

(おかお ともこ)ライター、編集者として仕事をする中、東洋医学に関心を持ち、薬膳や漢方について学ぶ。薬膳教室や雑誌、書籍、webサイトなどを通じて、東洋医学のよさを伝える。LOTUS薬膳教室主宰。

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